勇輝を幼稚園に迎えに行って帰ってきた時、桜家の駐車場に止めてあった一台の車。
それを見るなり、勇輝が、
「あっ!!」
と指を刺しながら叫んだ。
今日は午前中から桜家に工事が入っていて、ちょうど作業が終わったところみたいで、作業の方が私が幼稚園から帰ってくるのを待っていた様子。
「お待たせしました。 ところで、これって高所作業車ですよね? 実はうちの子供が大好きなんですよ、こういうの。」
と私が言ったら、なんと、
「乗ってみますか?」
と言ってくれたのです。・・・
「おい、勇輝。 あれに乗せてくれるんだって。 どうする? 乗ってみるか?」
と聞くと、黙ってうなずく勇輝。
で、早速乗せてもらうことに。
でも、まさか勇輝一人で乗せるわけにはいかないので、私も一緒に。
「では、上がりますよぉ。」
との声がしたかと思ったら、スルスルスルと私達の乗っている箱(?)が上に伸びていく。
「うわぁ、こりゃぁ、高い!」
と私。
「今のところで半分です。 では、もっと上に行きますので。」
と操作している人の声。
「おぉ、おぉ、おぉ。 すげぇ!」
私一人で大騒ぎ。
勇輝はというと、背伸びをしながら下を見たり、遠くを見たり、物も言わずに周りの様子を見ていた。
そして、あっという間に、桜家の2階の屋根の上まで来てしまった。
「これで一番上です。 高さは約8メートルですよ。」
「えぇっ? 8メートルって、こんなに高いのか!?」
予想していた以上の高さにビックリ。
で、落ちてはいけないので、勇輝をしっかりつかまえながらしばらく周りを見渡していました。
「では、降ろしますよ。」
下に降りる時も音もなく静かに下りていく。
「うちの子もそうなんですが、私も初めて乗ったんですよ。 どうもありがとうございました。」
と、作業の方に御礼をいうと、
「電力会社のこの手の車はもっと高いのもあるんですよ。 消防のはしご車なんか、24メートルとか32メートルとかあるみたいだけど。」
「ひえぇ、そんなに高いのはおっかないだろうなぁ。 でも、すごかったなぁ、勇輝。」
と勇輝に声をかけたのですが、うなずきはしたものの、無言のまま家の中に入っていった。
もしかしてちょっと怖かったのかな?
でも、良い経験になりました。
作業に来ていただいた皆さん、今日はどうもありがとうございました。